山岳写真同人四季写真展「山の息吹」鑑賞と40day
平成の中ごろに設立した東京40(よんまる)会は今年で15年となる。
今では100人近くの会員数となったが、大学時代、現役時代とお互いに知らなかった人がほとんどだ。
77歳の喜寿を迎えてもメンバーの皆さんは趣味、仕事、ボランティアなど
いろいろな分野で活躍しており、いつ会っても楽しい仲間で元気をもらえる。
そんな中で今回は会員で写真家の中川淳さんの写真展に13名が集まった。
中川さんが所属する「山岳写真同人四季写真展(出展数80点余)」である。
これらの出品写真は「山の息吹」という題材で山の地形の動きを想像するもの、四季の移り変わり、
カメラを通して心に映る山などで、写真家たちはそこに「荒涼たるもの」を求めたり、
「壮麗なもの」を密かに期待して山に入っているはずだ。
「絵も見るためにはただ絵の前に立つだけでなく、動いたり、しゃがんだり、
伸び上がったりしないと全貌がみえない」と言う評論家がいるが、
こういう山岳写真もやはり「俯瞰する」のがいいようだ。
そうすると作者の立ち位置と同じ目線で見る風景が迫りくる。
「山のうえから全体を見渡せる気分をイメージ」、「心身ともに洗われる」、「魅せられた景色」、
「星降る静寂の冬」、「雲一つない山」、「雪渓が溶け沢に流れ出す」、「晴天に恵まれ云々」、
「風雪に耐えるカラマツ」、「ガスにおおわれた天狗岳がようやく顔を出した」
などと書かれた作品の小さな説明文も躍動しているように感じられた。
中川さんの写真は、岩壁と複雑な地形の魅力ゆえに遭難者が異常に多かった谷川岳の一の倉沢で、
過去を知ってか知らずか、やがて消えゆくであろうスプーンカットされた雪渓を見事にとらえた
「真夏の涼」と題した作品だ。
鑑賞の後は恒例の懇親会、冬の宴コースで天然の魚を食した。
今回は幹事の気配りでいつもの安い酒の飲み放題でないプレミアム飲み放題なので、
「黒龍」、「越乃景虎」、「高清水」、「一ノ蔵」、「玉華」と、お酒も進んだ。
美しいものは美しい。美味しいものは美味しい。面白いものは面白い。
率直に喜べる「写真展」と「宴席」であった。
(文:濱田浩實)
(写真:鈴木、中段)