開催日:2011年6月21日(火) 13:30~16:00
開催場所:同志社大学東京セミナールーム
今回は久振りに女性講師にもご登場いただき、36名ものご出席をいただいて開催されました。
また特別参加として、池田和代様のお知り合いで女子大ご卒業の4名のギャラリーも出席され、たいへん盛況でした。
Ⅰ.久保木雅子様
『キャサリン・マンスフィールドの魅力』
・ キャサリン・マンスフィールド
(Katherine Mansfield)は1888年に生まれ、1923年に34歳の若さで亡くなった
ニュージーランド出身の女流短編作家。
20世紀の短編小説に大改革をもたらした人。
・ 裕福な家庭に生まれ、15歳でイギリスに留学したのを皮切りに、南ドイツ、フランス、スイスにも居住。
また、その間に恋愛・結婚・離婚、そして幾多の病気を繰り返すという大変波乱の多い生涯を送ったが、これらの経験、体験が彼女の作品には色濃く反映されている。
・ マンスフィールドの作品の特徴としては
①短い人生であったが、一生懸命に生き抜いた彼女の人生そのものを表現した作品が多い。
彼女の墓標には“危険なところに自ら飛込んでいかないと楽は得られない”といった意味の言葉が刻まれているが、彼女は若い頃からこれを地で行った人で、たいへん象徴的な言葉だと思う。
②非常に観察眼の鋭い人で、物事をじっくりと見る性格であったことも、作品によく現れている。
③心の微妙なうごきを絶妙な語り口で綴ったもの、詩情あふれる散文で生き生きと描き 出した作品も多い。
・ マンスフィールドの主な作品として、講師から次のものが紹介された。
「園遊会」―思春期の少女のイニシエーション、
生と死
「人形の家」―ランプの象徴、
忘れがたい人物‘Our Else’
「パーカーおばさんの一生」―悲哀と孤独感
「亡き大佐の娘たち」―ユーモアとペイソス
「入江にて」―故郷と家族の情景、
悠久の自然と循環する人間の営み
「カナリア」―最後の作品
・ また、「Butterflies」という詩が講師の美しくて流暢な英語と、素敵な和訳付で紹介された。
議事録作成者の不確かで無粋な解説を付けることは、折角の講演内容を台無しにしてしまいますので、原文のままをここに記載します。
Butterflies
In the middle of our porridge plates
There was a blue butterfly painted
And each morning we tried who should reach the butterfly first
Then the Grandmother said:‘Do not eat the poor butterfly.’
That made us laugh.
Always she said it and always it started us laughing.
It seemed such a sweet little joke.
It was certain that one fine morning
The butterflies woud fly out of the plates
Laughing the teeniest laugh in the world
And perch on the Grandmother’s cap.
・ マンスフィールドの作品を読んだことがある参加者は少なかったようですが、今日のお話をお聞きして、原語で英文学書を読むことに挑戦してみようか と思われた参加者もおられたのではないかと思います。
く久保木講師
Ⅱ.中河正勝様 『中国ビジネスの成功の秘訣』
・ 1970年代後半の中国の改革開放政策では、4大先進技術の導入が進められ、その一つとしてのカラーテレビ製造プラントの技術導入の分野で、自分が勤務していた日立が受注することになり、プロジェクトリーダーとしてこの事業に携わった。
・ プロジェクトを進める上での最大の難問であったCOCOM対応問題、あるいは本社、関係者、取引業者等との電話連絡の際の盗聴問題、相手国との商慣習、物の考え方の相違等について、協力なプロジェクト体制の整備とリーダーシップによって乗り切った。
・ これによって、直接的なプラント輸出のほか、プラントからの完成品、部品材料の輸出、そして3%のランニング・ロイヤリテイの初の獲得などを実現させることができた。
・ プロジェクト成功の要因として、次のことがあげられると考えている。
①最強の交渉プロジェクト体制を編成
――社内トップの理解を獲得
②綿密な交渉戦略、周到な準備・資料の用意
――他社と差別化できる設計、プレゼンテーション
③プロジェクトメンバー全員に対して、誠心誠意ことに当たる意識を徹底、指導
④先方メンバーと親交を深め、
多くの親日立人脈を構築(人脈ネットワークの構築)
⑤効果的な情報入手努力
――商社との連携等により他社情報を的確に把握
⑥先方の国民性の理解
――相手方メリットの徹底的アピール
・ 現在も「日中科学技術交流協会」会長として、7月にも企業関係者を伴って中国に行予定にしている。
『日中間産業連携 Bridge-Business構想』言語、文化、国民性、環境の違いを企業間、組織間で調整し互いの間の橋渡し役を果たすの運動を推し進めている。
中河講師
(文責:世話人・奥山博司)