すみれ亭 『鎌倉吟行句会』
時:10月2日(月)
於:鎌倉彫会館
すみれ亭句会は、月に1回定例の句会を大学の東京事務所で開いているが、
新年と秋には特別に吟行句会を行っている。
これは句会員の大いなる楽しみのひとつである。
時には一泊旅行としゃれたこともある。
さて、今秋の吟行句会は源氏ゆかりの鎌倉で行われた。
ここは数年前にも一度行ったことがあるが、何度、訪ねても
常に新鮮な印象を与えてくれるので、句会の場所として見逃すことができない。
当日はJR恒例の遅延等あり、全員の集合が間に合うか大いに気を揉ませたが、
そこはさすが賢明なる諸氏。
何と一人の遅れもなく江ノ電鎌倉駅に集合したのである。
幹事長の浩さん、先ずは胸をなでおろした次第。
江ノ電で極楽寺へ向かう。極楽寺は2度目であるが、しっとりした雰囲気は何ともいえない。
萩等の秋の花が庭には咲いている。山門で記念撮影。
次に歩いて切通しを上り、成就院へ。ここからの由比ガ浜の眺望は素晴らしい。
下って御霊神社にお参りしトンネルに入る江ノ電を間近に見たり、星の井の井戸を見たり、
力餅家の夫婦饅頭を買ったりしながら「鎌倉文学館」へ向かう。
鎌倉山の麓にある文学館はまさに「森の中」の表現が相応しい落ち着いた環境にある
旧前田加賀藩利爲の別邸である。
途中の通路には句碑が嵌め込まれていて、既に俳句の世界であった。
中は、鎌倉文士と云われた大佛次郎、川端康成、久米正雄、小林秀雄、里見弴、高見順、
永井龍男、中村光夫らの筆跡を偲ぶことが出来る。
充分鎌倉文学の雰囲気を味わった後、いよいよ今日の会場『鎌倉彫会館』へ向かう。
ランチは晶子さん手配のお弁当が待っていた。この美味しいお弁当のお陰で、
句会は大いに盛り上がった。
鎌倉の散策後の句作り、どれもこれもvery goodの句(秀句)ができたのであります。
何の誇張もなく実に愉しい会であった。以下は、当日の句である。
皆さんとくとご覧あれ!
今もなほ虫の音すだく切通し 浩
文士らの集ひし館実紫 和代
ほかけ舟歌詠み人か古都の秋 清龍
鎌倉の彫らるる花に秋気満つ 弓人
極楽寺苔のしめりや秋意ふと 豊嗣(特選)
鎌倉の旧家の門前芙蓉咲く らうら
鎌倉はいま葉月潮海高し 靖
大仏やいろはにほへと法師蝉 河童(特選)
極楽寺着けばかの日の萩の花 黄雀(特選)
萩ひそか古武士通りし切通し 信貴
半眼で祈る大仏秋の文 晶子
鎌倉の古寺の主役の枝垂れ萩 西風
鎌倉の散策楽し秋の蝶 慶
鎌倉や年拾ひたる弓ケ浜 倦鳥
現在病気療養中の弓人さんからも投句があり、これがまた多くの票を獲得して皆を驚かせた。
この文書の筆者河童の句「いろはにほへと」が先生から特選に選ばれ褒められたが、
こんなことぼくの人生経験で初めてこと。こんな嬉しいことはない。
打ち上げは、駅前の「鯉之介」ですき焼き料理。
当日歩いてきた場所、句の評価等話題に花は咲いた。
尚、この句会の記念誌を作成し会員にお配りしたが、もし、見たい方があるようなら、
東京事務所の「卒業生の本」の書棚をご覧あれ。
(文責:諏訪河童)