【ラグビー部OB観戦記】 ○同志社 55-40 ●慶應義塾 【第100回同慶ラグビー定期戦】
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5月4日(みどりの日)に行われた、日本最古の大学ラグビー定期戦「第100回 慶應義塾・同志社定期戦」の
ラグビー部OBによる観戦記とカメラクラブOBによる写真です。
【第100回 慶應義塾・同志社ラグビー定期戦】
日時:5月4日(木・祝、みどりの日)
場所:秩父宮ラグビー場
主催:第100回慶應義塾・同志社定期戦実行委員会
観戦記
終わってみれば、55-40という乱戦を制した同志社の勝利となりました。
中には「ディフェンスが甘すぎる」と批判的な方もおられることと思いますが、
試合終了後、立ち話をした山神前監督の「慶應とトライの取り合いになれば、
同志社が勝ちますよね」というコメントが強く印象に残りました。
同志社にとっては今年初めての対外試合で、攻守ともに約束事が徹底されていない未完成のチーム。
ディフェンスにも当然のことながら「穴」があります。
しかし、未完成ながらも、同志社の得点力には確かなものがありますよ・・・
そう山神前監督は言いたかったのでしょう。では、その場面を振り返りましょう。
【前半5分】
ゲームは慶應のキックオフで始まりますが、そのボールを同志社SO芳森がノックオンしてしまいます。
それを見て不吉な予感を覚えましたが、それが的中し、勢い付いた慶應が2分に先制トライを上げます。
しかし、その後の同志社ボールラインアウトがきれいに決まり、同志社はそこからモールで力強く前進します。
そして6分、同志社ボールのスクラムからNo.8倉本がサイドを突いて球をつなぎ、最後はLO堀部がトライを上げます。
このセットプレーの安定は我々にとり明るい材料となりました。
【前半15分】
10分、FL丸山がハイタックルの反則を取られ、シンビンの処分を受けます。
10分間、同志社FWは7人で戦うことになりましたが、その動揺を突き、
慶應が強固なモールで同志社ゴール前に迫り、トライを奪います。
しかし、その直後の15分、ペナルティを得た同志社は素早くBKに展開し、一気に慶應ゴール前まで攻め入ります。
そのスピード感あふれる攻撃は慶應を防戦一方とし、ゴール前のラックから同志社HO土田がダイビングしてトライを奪います。
シンビンで一名欠いていることを感じさせない攻撃でした。
【前半26分】
18分に慶應のキックパスが決まり、同志社はトライを奪われますが、その後も同志社は安定したセットプレーから反撃を行い、
23分には同志社ボールのスクラムから敵ゴールに迫り、HO土田が二つ目のトライを上げます。
そして26分、同志社ボールのラインアウトからきれいに出たボールから攻撃を仕掛け、
昨年はWTBで活躍していたCTB山口が抜け出し、WTB鶴田にパス、鶴田が余裕のトライを上げます。
鶴田はその後、3つのトライを上げますが、彼は男子セブンズ日本代表選手で、
スペースがあれば自由自在の走りで大きくゲインできる逸材です。
このトライ(ゴール)で同志社は26-19とリードしますが、前半終了間際の39分、
慶應にトライ(ゴール)を奪われ、26-26の同点となります。このあたりの詰めの甘さは今後の課題です。
さて、後半を見てみましょう。
【後半3分】
自陣22m付近のスクラムからSH原田がダミーで右に走り、ボールは左サイドへと回ります。
再びWTB鶴田がボールをもらい、敵のFB、対面のWTBを次々に振り切る快走でトライを奪います。
そのスムーズな加速と大きく外にコースを取れる脚力に歓声が湧きました。
この攻撃ではBKの選手が相手のディフェンスを見ながら冷静に間合いを詰め、
良いタイミングでボールをつなぎ、鶴田を余らせています。
その後は鶴田の走力でトライを奪っていますが、このBKのセンスと判断力は素晴らしいと思いました。
【後半12分】
5分と8分に慶應が反撃のトライ、同志社にとってはディフェンスの甘さが課題として残りましたが、
同志社の活動量は全く衰えず、慶應が深く蹴り込んできたボールをFB安田がキャッチしてカウンターアタック、
ラックから出たボールをLO服部、LO堀部、HO土田、WTB後藤とつないで一気に慶應ゴール前に迫ります。
見応えのあるゲインでしたが、目立ったのは一人ひとりの当たりの強さです。
慶應も低いタックルで応酬するのですが、ボールを生かす強さと身のこなしが同志社にはありました。
12分、慶應ゴール前で得たペナルティから野中主将がボールを持って突進、トライを奪いますが、
野中主将の身体を張ったプレーもメンバーに勇気を与えているように思いました。
【後半24分】
後半13分から23分までは同志社陣での防戦一方の戦いとなります。何度か危ない場面もありますが、
同志社は強いタックルでしのぎ、反撃のチャンスを窺います。
そして24分、自陣22m付近のラックから出たボールがCTB永富に渡り、
それを見計らったかのように後方から上がってきたFB安田に絶妙のパス、
抜け出た安田―永富―安田と二人で敵陣22mまで攻め入ります。
一旦、ラックとなり、同志社は左オープンに展開しますが、FB安田のパスがラインの後ろにそれてしまいます。
これはピンチを招くかと思ったところ、それを拾い上げたWTB鶴田が
外にいた慶應の選手の更に外側を走り抜くという目を見張るスピードでゴールに達しトライを上げます。
見事でした。
【後半26分】
同志社がノーホイッスルトライを上げます。キックオフのボールをキャッチしたNo.8秦が大きくゲイン、
ラックから出たボールをCTB永富が受け、再び絶妙のタイミングで後方から走り込んできたFB安田にパス、
安田がディフェンスを引き付けた上でWTB鶴田にパス、鶴田が快走を見せてこの日4つ目のトライ。
同志社ファンにとっては歓喜の時間帯となりました。
【後半35分】
スコアが48-40でしたので、慶應からすると一つトライを返しておかないといけない時間です。
しかし、同志社がキックではなくパスで攻める選択をしていましたので、なかなか慶應に攻撃のチャンスが巡ってきません。
ところが、同志社が自陣22mから左オープンに展開し、WTB鶴田にボールが渡ったところで
スローフォワードの反則を取られます。慶應にとってはチャンス。
そのチャンスを潰したのがFL野中主将の好タックルです。
慶應No.8にボールが渡ったのを見定めるように強烈なタックルを見舞い、ノックオンを誘います。
非常に攻撃的なタックルであったという意味で、ここに記しておきたいと思います。
【後半37分】
ペナルティを得た慶應が同志社ゴール前のタッチに蹴り出し、ラインアウトから攻撃を仕掛けますが、
ラックでターンオーバーがあり、同志社に出たボールがCTB永富―WTB鶴田―FB安田―永富―安田と渡り、
慶應ゴールラインを割ります。しかし、グランディングができず、キャリーバックとなります。
5mスクラムからSO古城が持ち込み、FL野中がゴールに迫り、最後はLO服部がトライ、ゴールも成功し55-40としました。
第100回という大きな節目を迎えた同志社・慶應義塾ラグビー定期戦ですが、
両チームとも終始真摯なプレーに徹し、ペナルティが少なく、見ていて気持ちの良い試合となりました。
両チームともにディフェンスには課題を残し、特に同志社にとっては敵SHの横移動に
タックルポイントをずらされたような印象が残りましたが、
タックルそのものは前で倒すという強い意志が感じられ、今後の修正が可能であるように思えました。
攻撃面では明るい材料が多いので、今後の成長、進化に期待したいと思います。
尚、同志社小学校と慶應幼稚舎の対戦は15-30で敗れましたが、
レジェンドチームの対戦は5-0、続くシニアOB同士の対戦も7-5でそれぞれ同志社が勝ちました。
若手OBチームの対戦は10-19で慶應の勝利、しかし、大学生同士の定期戦は55-40で同志社が勝ちましたので、
この日は同志社の3勝2敗で終えることができました。
皆さまの応援に感謝申し上げます。
文責 / 出石賢司〔1978年(昭和53年)経済学部卒、ラグビー部OB〕
写真 / 新田博伸〔1977年(昭和52年)法学部卒、カメラクラブOB〕
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