同志社創立140周年記念 ~ゆかりの地に集う~
同志社フェア in 熊本 早天祈祷会
同志社フェアin熊本の早天祈祷会が熊本バンドゆかりの地、花岡山山頂で1月30日(土)午前6時半から
行われました。
熊本バンドとは同志社の宣教師が熊本から来た青年達を熊本のグループという意味で呼び始めたものです。
会の前に「熊本バンド奉教の碑」周辺の緊急修復に対して、同志社大学と校友会から寄附の贈呈式が
ありました。
1867年1月30日、35名の若者が花岡山の祈祷会に参加し、キリスト教を世に知らしむることを決意し、
それを朗読し署名したことを記念して、同志社創立90周年の記念にこの「熊本バンド 奉教の碑」が寄贈され
1965年に建立されました。
この青年達は1871年(明治4年)に設立された熊本洋学校でアメリカ退役軍人ジェームス教師の教え子であり、
創立直後の同志社に転校し卒業し、同志社の基礎を作った若者達であり、日本の近代化、市民社会形成の上で
大きな貢献をしました。
会は讃美歌260番から始まりました。続いて聖書拝読。
同志社キリスト教文化センター石川 立所長の「昨日の雨から天候に恵まれ140年前の熊本バンドゆかりの地、
花岡山山頂に導いていただいたことに感謝します。皆様に主の恵みと福音が有りますように」
と祈祷がありました。
その後に、九州学院高校、ルーテル学院中学高校聖歌隊のリードで全員で讃美歌21番を歌いました。
1876年1月30日のキリスト教を学び知らしめ、信仰にふさわしい生活を全員で一致協力し合い、
戒め合いて行うという「奉教趣意書」の朗読がありました。
村田学長からはまず現在の世界情勢について、アメリカ大統領選挙やオリンピックの歴史や、
ヨーロッパの移民問題についての話がありました。
「アメリカ大統領選挙でも、ヨーロッパでも、また中東でも自分達と違う文化や言語や人種を排斥する
傾向にあります。日本でも昨年は国民の意見を二分する問題がありました。
様々な問題は寛容と不寛容の攻めぎあいであり、寛容は不寛容にしばしば敗れてきました。
寛容は防衛的であり、不寛容は攻撃的です。寛容の武器は説得と反省の二つしかありません。
しかし、最も恐れるべきは、寛容が不寛容を誘発されてしまい寛容自身が不寛容になることです。
この半年間、私が何度も読み返すことになった渡辺一夫の狂気の時代という本では、
そう指摘しています。寛容はあくまで寛容であり続けなければなりません。
社会が大きく変わる時こそ、政治や外交や経済で人々の意見が大きく異なる時代だからこそ、
もしかしたら自分の意見に間違いがあるのではないのかと謙虚に考え、異なる意見に対して耳を傾け、
共通点をみつけるために、議論を重ね対話を続け、忍耐をもって歩み続けなければなりません。
そのような寛容と忍耐が今、再び世界で求められている時代になっているのではないでしょうか。」
村田学長の奨励が終わる頃には、真っ暗だった空が明るくなり、赤々と燃えていたかがり火も小さくなり、
天に高く舞い上がった灰が花岡山に集った人々を祝福するがようにふり降りてきました。
文責/作村満明 (昭和52年法学部卒)
写真/北濃登美男 (昭和41年法学部卒)、作村満明 (昭和52年法学部卒)