開催月日:2012年11月12日(月)13時30分~16時
開催場所:同志社大学東京オフィス・セミナールーム
38会懇話会は1年半振りの開催でしたが、第15回も31名と多数の参加者を得て盛会でした。今回の講師は飯田禎彦氏と田中久義氏のお二人です。
飯田 禎彦氏
『溶解型マイクロニードルの導入課題と日本発の事業について』
ご兄弟に声を掛けられたことがキッカケで、昨年秋頃から係ることになった“経皮吸収製剤“というものの開発、実用化に向けてご努力中のお話です。
・これは、半導体分野における微細加工技術とバイオ技術とを融合して、先端部に薬物を局在させた根元直径 300μm以下、高さ500μm以下のマイクロパイルを150本以上集積させた約1c㎡のチップ(マイクロニードルチップ・貼付剤)を高速かつ連続的に製 造し、医療と美容の両用途からの経皮吸収製剤を開発、商品化しょうというものである。
・マイクリニードルチップは、皮膚に5分間くらい貼付するだけで、マイクロパイルとその先端に詰められた薬物等が、ともに表皮と真皮の間に投与され溶解されるもので、特徴としては・無痛下で薬物等の経皮投与が可能となる
・注射剤としてしか体内に投与できなかったワクチン、インスリン、インターフェロンなど蛋白薬の高率での経皮吸収が可能となる
・化粧品用途とくにアンチエージング(anti aging)用途に有効
・高い安全性が確保できる(皮膚への障害、注射時の感染の恐れ等がない)
等があげられる。
・この事業は科学技術振興機構(JST)の下に、(株)バイオセレンタック(京都薬科大学・高田寛治教授) というところが中心になって、製薬会社、ワクチンメーカー、化粧品会社、日本写真印刷(マイクロニードルチップの製造)から構成されるチームで推進中で、 2014年くらいを目途に厚生労働省の認可を得るべく、目下、製薬会社、化粧品会社で臨床研究を続けている。
・これに関する特許は2012年2月に取得したが、自分はこの特許申請・取得の過程および、その後に発生した係争への対応に係った。
・質疑応答の中で、化粧品メーカーに40年余勤務された会員から、次のような感想が述べられた。
“ 実用化までには技術面では、本来バリア機能をもっている皮膚に薬物を打ち込んで、かつ効果をあげていかなければならないという課題の解決と、監督官庁の厚生労働省の認可を取るための大変な苦労が必要となるのではないか“
田中 久義氏
『日本のウオーキング活動と世界のウオーキング』
田中久義さんは2年前に38会に入会された方ですが、氏がウオーキングを始められたキッカケ、および氏が永年に亘って幹部として係ってこられたウオーキング協会の活動の歴史について話していただいた。
・自分とウオーキングとの係りは、若い頃にテニスの試合中の左足ふくらはぎ肉離れを起し、そのリハビリ テーションとしてウオーキングを始めたのがキッカケであり、また履物総合メーカーに就職してウオーキングに最適なシューズの開発に関係したというのも大き な要因となっている。
・ウオーキングに関する協会として、「(社)日本ウオーキング協会(JWA)」という組織があり、道府県 にその下部組織がある(東京都のみ「東京国際スリーデーマーチ」という別組織となっている)。この組織の前身は1964年10月17日(東京オリンピック 開催中)に設立された「歩け歩けの会」に遡る。
・JWAでは日本最大のウオーキング大会“日本スリーデーマーチ”を1978年以来、毎年開催している。これは最長で50㎞の距離を3日間で歩くという大会。
・この第10回大会(1987年)の時には、現在の皇太子殿下を迎えて「国際マーチングリ-グ(IML-WA)」(歩けオリンピック)という組織が日本で発足した。
・JWAでは、年次大会の外に次のようなイベントも開催してきた。
・“平成の遣唐使”と称して平城京(奈良市)→西安市(中国)の3000㎞を54日間で踏破する行事(1997年)
・江戸時代に測量のために全国を行脚した伊能忠敬の碑が境内に建立されるのを記念した“伊能ウオーク”(東京深川の富岡八幡宮をスタートおよびゴールとし、574日間で全国11030㎞を踏破)の開催(1999年~2001年)
・サンフランシスコ講和条約調印50周年記念で、ワシントンDC→サンフランシスコ5000㎞を歩く“アメリカ横断ウオーク”の開催(2001年)
・またJWAでは海外の組織との関係として、「国際市民スポーツ連盟(IVV)」(ウオ-キング他4種目 のスポーツ大会を開催)と連携したイベントの開催、IMLに加盟していないインドネシアに働きかけての“ジョグジャカルタ世界遺産ウオーキング大会“(日 本、インドネシア国交樹立50
周年記念)の開催等も行っている。
・自分は“日本スリーデーマーチ”の初期の頃の大会から開催運営に関与してきたほか、JWAの開催イベントのほとんどに参加してきた。海外でのイベントにも中国、アメリカ、オランダ、エストニア、インドネシア等々でのウオーキング大会に参加した。
・これらの経験からウオーキングは、単に心身の健康に効くだけではなく次のような面にも効果があり、大いに貢献していると確信している。
・教育面(子どもが発育する過程での“歩育”効果)
・環境面(クルマ自粛による省エネ、地球温暖化抑制効果)
・地域活性化面(ウオーキングを兼ねた観光客の増加効果)
・国際交流、平和交流面(世界各地の協会間の交流によって)
以 上