すみれ亭 新年吟行句会
時:平成30年2月5日(月)
於:清澄庭園・涼亭(深川)
今年の新年句会は、芭蕉ゆかりの地・深川を巡ることになった。
立春を過ぎたとはいえ今年は何年振りかの大寒波が、襲来とかで、
集合時間の清澄白河駅も殊の外寒かった。
でも、全員予定時刻に元気に【寒さ対策】をして集まった。
倦鳥先生より、今日の訪問予定場所を書いた地図を頂き、さあ元気に出発だ。
先ず、訪れたのは仙台堀川沿いの『採荼庵跡』(さいとあんあと)である。
ここは、芭蕉の大支援者であり、蕉門十哲にも数えられている
杉山杉風(さんぷう)の別荘があった場所であるが、
芭蕉は、『奥の細道』に出る時、それまで住んでいたその近くの庵を整理して、
ここからその旅に出立したといわれている。
さて、われわれは仙台堀川沿いに立てられた芭蕉の句碑を味わいながら、
芭蕉稲荷、展望庭園へと向かう。
芭蕉稲荷は、芭蕉が江戸の街を離れて、深川の地に侘び住いを求めて移り住んだ場所といわれており、
それは【生け簀を見張る小屋】であったのであるが、
時と共にいつしかその場所も分からなくなってしまった。
ところがある時の大洪水で、芭蕉が愛用した「蛙」がそこから出てきたので、
そこが小屋のあった場所に違いないという推測の基に、
そこに芭蕉稲荷が祀られるようになったという。
この直ぐそばの川沿いの展望庭園から眺めた隅田川は素晴らしい。
俳句に関心ない方でも、一見の価値があると感じた。
それから、近くの「芭蕉記念館」を参観した。
芭蕉ゆかりのものや子規に関する貴重な資料が展示されている。
この後、臨川寺といって仏頂和尚が住み、芭蕉がいつも禅問答に訪れたといわれるお寺を訪問した。
ただここはすっかり整理されてしまい、その面影を偲ぶ跡は残念ながらなかった。
昼食後は、いよいよ句会であるが、今日の会場は清澄庭園・『涼亭』である。
清澄庭園は、紀伊国屋文左衛門の屋敷跡と伝えられており、明治に入って岩崎弥太郎が買い取った。
その後、東京市に寄贈されたという。広大な敷地の中に池が配され、
そこに浮かぶが如くに立つ『涼亭』が今日の会場である。
『涼亭』から見る庭園は見事であり、句会を催すには最高の環境である。
そんな中で、作句をし、自句自解をし、また皆で批評をし、最後に先生に特選、入選を選んでもらう。
実に愉しい一日であった。
今日は3人が欠席で少々寂しい感はあったが、その分出席したメンバーが大いに気をはいた。
なお、お題は「春」と「今日の吟行」を入れることであった。以下が今日の句である。
○ 白梅の川辺にひそと採茶庵 らうら
春なればはるなればとて何もせず 倦鳥
○ 水ぬるむ汐の香芭蕉道 和代
○ 深川の句碑を巡りて春を知る 浩
遅れ来し人に拍手や春兆す 豊嗣
特2 旅立ちを桜で飾れ芭蕉庵 晶子
俳聖の庵を訪ふ早春路 靖
特1 春なれば深川なれば梅の香が 河童
特3 陽に風に春立つ匂ひ芳ぎ歩き 西風
○ 芭蕉翁杖つき訪ね春浅し 信貴
○ 深川の春はまだよと池の主 清龍
子雀と遊ぶ芭蕉の庵跡 まさ
深川の芭蕉たどりて初句会 黄雀
特1,2,3が特選句、〇が入選句である。
打ち上げは、ぼくが肺炎の後だったので出席できなかったが、
中華料理での座はきっと盛り上がったことであろう。
文責:諏訪河童