今回の「同志社ファン・レポート」では、なぜ、同志社が「社会福祉の同志社」と言われるのか、先輩にどのよううな方が居られるのかも分かります。
また、石井十次がどのような人かを講義の中での映像で知ることができます。
第46号・平成26(2014)年9月15日発行
*2014年度春学期の講座「良心学」の第8.9.10回目をご紹介します。
この講座は5名の先生が担当しておられます。
今回は木原活信先生(教授)の次の3回シリーズです
・第8回「社会福祉における「良心」①
──Jane Addamsの福祉思想」
Jane Addamsさんは裕福な家に生まれた。闘牛を見たことから貧者のための施設を建てた。後にノーベル平和賞を受賞している。興味深い人生を送っている。
・第9回「社会福祉における「良心」②
──同志社社会福祉の群像:山室、留岡、石井」
ここでは石井十次を重点を置いて学ぶ。先ずは、彼に大きな影響を与えたジョージ・フレデリック・ミュラー(George Fredrick Müller)について触れる。
ミュラー(1805年5月27日~1898年3月10日)はプロシア生まれで、イギリスで活躍した孤児院経営者、宗教家、説教家。来日し、新島襄に招聘され同志社で講演をしている。石井十次の思想に決定的な影響を与えた他、山室軍平などにも多大な影響を及ぼした。
石井 十次(いしい じゅうじ)
( 1865年5月5日(慶応元年4月11日)~ 1914年(大正3年)1月30日)は、明治期の慈善事業家で、岡山孤児院を創設した人物である。その功績から、「児童福祉の父」と言われる。詳細は授業の中の映像をご覧下さい。
・第10回「社会福祉の良心③
──現代日本の無縁社会に「良心」は痛んでいるのか」
<空海の言葉>
「古人の跡を求めず、古人の求めたるところを求めよ。」
(古人の足跡をたどるのではなく、彼らの求めたものを探し求めるべきだ)
木原教授は、授業を聞いて「偉大な人が居たのだ」と、過去の話で終わっていてはいけない。それを超えて、その人が求めていたものを今、求めていくべきだ。と締めくくらた。
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次回 10/15は 内藤正典先生(グローバル・スタディーズ研究科教授)
11/15は 位田隆一先生(グローバル・スタディーズ研究科教授)です。
<参考情報>
・木原活信先生について
同志社大学社会学部社会福祉学科教授
主要担当科目:社会福祉の歴史と思想、福祉と人権、精神保健福祉援助実習
研究テーマ:福祉思想・福祉哲学。ジェーン・アダムズの研究で第五回福武直賞を受賞。
プロフィールは → http://www.geocities.jp/kihara0918/office00.html
・ジェーン・アダムズについて <ウイキペディより>
(Jane Addams, 1860年9月6日 - 1935年5月21日)は、アメリカ合衆国のソーシャルワークの先駆者。ノーベル平和賞を受賞した女性。社会事業家、平和運動家。女性運動家。
生い立ち
イリノイ州シダーヴィルに生まれる。ロックフォード大学で学び、1881年に首席で卒業した。しかし同年8月には父親であり資本家、政治家ジョン・アダムズ(リンカーンの友人)が死亡し、さらに自身は脊髄の手術のために、フィラデルフィアの女子医科大学での勉学を中断した。
不妊の身体と宣告された後の1883年から2年間、半ば神経症のような状態でモラトリアムとしてヨーロッパを遊学。スペインのマドリードで見た闘牛見物を機に、生き方を方向転換し、ロンドンに向かい、そこでセツルメント(日本では隣保館と呼ばれることもある)運動の先駆であるトインビーホール(サミュエル・バーネットにより1884年に設立)を実地見学(インターンのような活動)して、そこで、学友でもあり、親友でもあったエレン・ゲイツ・スターと共同でアメリカ合衆国でセツルメントを開設を構想し、当時の貧しい人たちが居住していたシカゴのスラム街であったサウス・ホルステッド通り800番地の邸宅の空き家に当時世界最大規模のハルハウスが建てられた。これは、近在の貧困者のためのいわゆる地域福祉のセンターであり、また地域の社会改善事業のセンターとして機能するためのものであった。もともとは1856年に建てられた裕福な実業家の邸宅であったが、30年経過した当時となっては、シカゴで最も不潔で荒廃した地域になっており、極貧の工場や長屋に囲まれていた[1]。そして1889年9月18日に、彼女は友人のスターの仲間とここにセツルメントを開設し、ハルハウスと名付けた、その後、多くの有能な女性たちもこの活動に参加して市民運動のような形になった。
1911年アメリカセツルメント・隣保事業センター連盟の創設に貢献し、その会長に就任。女性の救援や平和主義の運動でも強力なリーダーシップを発揮。1931年には教育学者のニコラス・バトラーと共にノーベル平和賞を受賞した。
ハルハウスは、週に2,000人もの人を世話し、成人のための夜間学校、幼稚園、少年少女のためのクラブ活動、慈善食堂、画廊、喫茶部門、体育館、女の子たちの手芸、調理クラブ、プール、製本所、音楽教室、図書館、そしてさまざまな関係部門を備えた大規模な活動であった。 1923年には日本にも来日して多くの賀川豊彦ら社会事業家らと交流している。
主要な組織
ニューヨーク国連プラザ(国連本部)には、ジェーンアダムズ平和委員会というNPO組織がある。 毎年、子供たちのための平和に役立つ本を選択し、ジェーンアダムズ平和ブック賞として作家を表彰している。授賞式の会場はニューヨーク国連本部である。
2007年度の受賞本には、第二次世界大戦中にアメリカ合衆国内で日系人収容所の生活を題材にした絵本”砂漠に咲いたひまわり”(著者:エイミー・リー・タイ)が受賞している。2008年1月、ジェーンアダムズ平和ブック賞受賞作品がはじめて日本の子供たちに寄贈されている。日本の代表校として、作品は大阪府寝屋川市立神田小学校に寄贈された。
主要な著書
「民主主義と社会倫理」1902年 「新しい平和の理想」1907年
「ハル・ハウスの20年」1910年 「ハル・ハウスの次なる20年」1930年
・ハルハウス(Hull House)
1889年近代社会福祉の母といわれるジェーン・アダムズが、イリノイ州シカゴにエレン・ゲイツ・スターと共同で設立した施設で、当時世界最大規模のセツルメントハウス(隣保館ともいう)を創設する。
・木原活信著
『J.アダムズの社会福祉実践思想の研究―ソーシャルワークの源流 』1998年、川島書店 の目次
序論
第1部 J.アダムズの社会福祉実践思想の形成過程
第1章 パーソナル・ヒストリーに見る援助者の意識構造の形成
第2章 クエーカー主義の影響
第3章 慈善事業から博愛事業への変遷過程
第4章 博愛事業家から社会事業家への変遷過程
第2部 J.アダムズの社会福祉実践思想とソーシャルワーク
第5章 J.アダムズと革新主義時代
第6章 ソーシャル・ケースワークの形成におよぼした影響
第7章 ソーシャルワークの「媒介」の起源とJ.アダムズ思想
第8章 J.アダムズにおける「実践」の意味とソーシャルワーク
第3部 日本におけるJ.アダムズの社会福祉実践思想の受容と継承の過程
第9章 明治後期から大正前期におけるJ.アダムズ思想との接触と受容
第10章 1923(大正12)年6‐8月J.アダムズ来日の足跡をめぐって
第11章 大正後期から昭和初期におけるJ.アダムズ研究の展開
第12章 第2次世界大戦以降におけるJ.アダムズ研究の動向とその意味
結語
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再録 <2014年度春学期の講座「良心学」の概要> シラバスより引用
本講義は、同志社の建学の理念、とりわけ「良心」を中心とした教育理念の歴史的背景を理解した上で、「良心」が現代世界の中で、どのような応用可能性を持ち、また、それをどのように実践できるのかを学際的に探求していきます。また本講義は、創立150周年を視野に入れた同志社が、良心教育の現代的使命を明確にしていくための「良心学」入門となります。
良心教育が同志社における教育の根幹をなしていることは言うまでもありませんが、新島襄が「良心」をどのような意味で使ったのかについては、十分な理解がなされているとは言えません。一般的には、良心碑に刻まれた「良心の全身に充満したる丈夫の起り来らん事を」や、「同志社大学設立の旨意」に登場する「良心を手腕に運用するの人物」という表現くらいしか知られていません。しかし、新島はかなり初期の頃からconscienceという言葉を使っており、「良心」という言葉によって、具体的に何を考えていたのかを整理する必要があります。
そのような学問的作業を踏まえた上で、新島の理念を現代に生かすとするならば、「良心」は現代世界が抱えている諸課題をどのように照らし出すだろうか、という点にまで、本講義では踏み込んでいきたいと考えています。以上の点をまとめるなら、本講義は次の二つの柱から構成されていると言えます。
(1)同志社教育にとって「良心」とは何か(基礎的・歴史的探求)
(2)「良心」は現代社会にどのように適用可能か(応用的探求)
世界の困難な現実と付き合わせる形で、旧来の「良心」理解を鍛え直す意欲的な講義を展開する予定です。また、この「良心学」の講義が、これから社会に出て行く学生諸君に対し、時代の激流の中にあっても「ぶれない」精神的基軸の一つを提供することを願っています。 <おわり>
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なお、この授業もYouTubeで勉強することができます。今回も小原先生の
お力によるものです。
「授業一覧」は次のURLでご覧下さい。
各授業のタイトルと時間数が分かります。
以上