筑波戦「観戦記」
当日は仕事があって観戦できず、翌日に後輩が録画しておいてくれたDVDで観戦しました。
通常、負けたと分かっているゲームを観戦するのは愉快なことではありませんが、
筑波戦に関して言えば、大きな苦痛を感じることなく観戦することができました。
多分、敗れたとは言え、随所に同志社らしいプレーが出ていたからでしょう。
いきなり筑波の「前に出る意識の強さ」を見せ付けられました。
同志社のキックオフでゲームが始まった直後、筑波が自陣から蹴ったキックをキャッチしたFB崎口が前進しようとしたところ、
筑波の二人掛かりのタックルを受け、そのまま5mほど押し戻されます。迫力がありました。
4分と12分には同志社ボールのラインアウトがありましたが、いずれも同志社はボールを取れませんでした。
筑波のプレッシャーがあったのでしょう。6分にはファーストスクラムがあり、こちらは互角でしたが押せる雰囲気はなく、
同志社にとって安定したセットプレーとは言えないスタートだったと思います。
それでも16分から17分にかけて同志社はスピードある攻撃を仕掛け、トライチャンスが2度ありました。
一つはFB崎口からWTB松井へのパスが通らず、もう一つはWTB氏家からLO森山へのパスが逸れてチャンスを潰しますが、
いずれもパスが通っていれば筑波ゴールまで迫れた攻撃だったと思います。
筑波の前に出るディフェンスに押されながらも、鋭い出足と巧みな球さばきでゲインする同志社らしい攻撃でした。
その後、同志社はラインアウトで苦戦しますが、筑波のミスや反則に救われ、26分にはPGを決めて3-0と先制します。
しかし、直後の28分、筑波キックオフのボール処理に失敗し、そこを突かれてトライされ3-5と逆転されます。
34分にはセンターライン上のモールから筑波に攻められ、こちらも同志社ディフェンスの間隙をSOに抜かれ、
トライを許して3-12とリードを許します。
以上、二つともワン・チャンスを生かされたという感じのトライでしたので、どうも負けているという実感が湧きませんでした。
逆に同志社は39分、筑波ゴール前のラインアウトからFWが再三タテへの攻撃を仕掛け、
筑波ディフェンスがFWに集中したのを見たBKが一気に右オープンに展開し、WTB松井がトライを上げます。8-12。
そこで前半が終わりますが、私の印象は「これは同志社が後半に追い上げて勝つゲームやな」でした(笑)
同志社が追い上げる筈だった後半ですが、先制したのは筑波で、これもゴールポストに当たってしまったPGの処理ミスが招いた
ピンチだったように思います。
自陣ゴール前で同志社は釘付けにされ、6分、最後はモールからSHにサイドをもぐられましたが、完全にノーマークの状態でした。
9分後にもトライを奪われ8-26になりますが、筑波のチャンスと見るや全員にスイッチが入る集中力を見せ付けられたように思います。
しかし、今年の同志社は一味違います。
その後の10分から24分までは同志社がゲームを支配し、18分にはWTB松井がSO渡邉のディフェンスライン裏に蹴り込んだ
ボールを押さえトライを上げます。15-26。
更に24分、筑波ゴール前のラインアウトからFWがモールで攻め入りトライ、22-26の4点差に迫ります。
これは逆転できるかなと思える展開だったように思いますが、その直後の25分、SH大越のキックをチャージされ、
そこからトライを奪われます。
ゴールも入って22-33。32分にはPGも決められ22-36。
前半同様、ワン・チャンスを生かした筑波が同志社の反撃を芽を摘んだ・・・そんな気がします。
ただ、それまでの同志社の攻撃を振り返ると、最後のパスが上手くつながっていません。
恐らく、筑波の前に詰めるディフェンスに同志社は圧力を感じていたのではないでしょうか。
38分、非常に惜しいプレーがありました。CTB永富が力強いステップで筑波ゴールに迫り、トライしたかに見えましたが、
実際には10cm程足りなかったようです。
これも同志社と筑波が逆だったら、両サイドにフォローする選手がいて強引にゴールを割っていたかも知れません。
それ位、筑波のここ一番の集中力は見事だったと思いますし、それは競合の激しい関東の地で養われたものだと思いました。
同志社にはそこまでの集中力がなかったということでしょうが、それでも3つのトライを奪い、再三ゴールを脅かせた訳ですから、
今年の同志社にはゲインできるパワーとスピード、センスがあるということだと思いました。
(S53年卒ラグビー部 出石賢司)