東京40会

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年次会活動

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日展鑑賞会と40年会の日

日展鑑賞会と40年会の日

 

卒業後60年にもなるというのに、我々東京40年会の活動は実に充実している。

自由参加の各種イベントや会合が度々持たれ、老年期真っただ中の我々がキャンパス生活に戻って青春気分で交歓出来る貴重なコミュニケーションの場となっている。

 

多士済々の会員の中でも、平岡 燁さん(文学部美学科卒)は「日展」入選常連の日本画の画伯で有り、40年会の誇りである。

 

11月14日、入選11回目を迎えた彼女の入選作品鑑賞会が国立新美術館で開かれ総勢11名の会員が集まった。 
六本木のしゃれたレストランでランチとお喋りの会を終えた後、日展会場に向かった。

 

 

平岡さんの作品「湿原の吾亦紅」は150号の大作であり、特選作品に続く上席にひときわ異彩を放っていた。

 

高原の湿原は晩秋の中にあり、画面の大部分を占める湿原は黄色を帯びた枯野となり、空の青さを映す水面と複雑に入り交じったまま遠くに広がっている。
遠景の緑の山も一部は黄葉しつつ、秋の深まりを感じさせる。
マチエールを重ねたこの辺の処理はさすがである。
背景の広がりと空気感の中にモチーフとして「吾亦紅」が群生している。

楚々とした、どこか哀感を漂わせる花である。

 

 

絵を鑑賞する人は、作品の主張や世界に、自身の心情や感性が共鳴し合ったとき納得し、好感を持ち、印象に残るのだと思うが…秋風が吹く高原の湿原に群生する寂し気な「吾亦紅」が、すでに晩秋期に達した私の心境に妙にしっくりと収まり、「我もこうだ」とつぶやきつつ素直に納得した。

私の曲解で有ろうか?

 

ともあれ、見る人をしてこんな詩情や思索の世界に導くのは、矢張りこの作品の持つ力であり魅力なのであろう。

 

平岡画伯に拍手を送り、益々の御活躍を期待します。

 

 

一同、日本画の会場から洋画、書道の会場をめぐり芸術の秋を満喫した後、それぞれの思いを反芻しながら満ち足りた思いで帰路につきました。

 

井角憲三:記 鈴木良之:写真